イベントレポート - Foret

近衛邸「糸桜」と隠れた社寺を訪ねて レポート

禅寺 勝林寺 写仏体験 レポート

「写仏」とは、仏様の姿を描くための白描図(墨線だけの下絵)を墨一色で写していく「行」のひとつです。仏教そのものは大陸から伝来してきたものですが、写仏を「行」や「美」にまで昇華させた歴史は、日本独自のものだそうです。日本人が持つ高い精神性や美意識が、写仏という伝統文化を生み出したんですね。今回Foretでは、日常の忙しさをしばし忘れて、仏様とふれあう安らぎのひとときを過ごしました。

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会場となった「毘沙門堂 勝林寺」は、京都の東福寺の塔頭寺院のひとつで、天文19年(1550)に東福寺第二百五世住持の高岳令松禅師によって、勝林庵として創建されました。本山東福寺の鬼門(北方)に位置し、仏法と北方を守護するところから、「東福寺の毘沙門天」と呼ばれています。

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写仏体験ではまず、「塗香(ずこう)」と呼ばれるお清めの粉を手にふりかけるところから始めます。
お寺の拝観や写経・写仏の前にはこの塗香で体を清めるんだそうです。奥深い和の香りで神聖な気持ちになれるような気がします。

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心身ともに準備が整ったところで、いよいよ写仏体験に入ります。下絵となる仏様の白描図の種類は全部で8種類。下絵の上に薄い和紙を重ね、ゆっくりとなぞって写していきます。筆ペンを使ってなぞっていくのですが、これが意外に難しく、太い線や細い線など思うように筆が進んでくれません。
気が付けば参加者のみなさんは思わず呼吸を忘れるぐらいの集中モード。会場は水をうったように静まり返っていました。

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一筆一筆に集中していると、時間が経つのはあっという間です。最後に白毫(びゃくごう:仏様のおでこの真ん中にある丸い印)を右回りにくるりと書いて、ようやく仕上がりです。みなさんの仏様を見比べてみると、不思議なことに同じ下絵でも表情は千差万別で心理状態や個性が仏様にあらわれているのかもしれませんね。

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写仏を終えたあとは、お抹茶とお菓子がふるまわれ、ご住職からのありがたいご法話をいただきました。参加者のみなさんの表情からも清々しい様子が感じられ、春の訪れにふさわしい素敵な一日となりました。

フクロウ

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